研究課題/領域番号 |
20591999
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
清水 猛史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00206202)
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研究分担者 |
柴山 将之 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20402711)
星 恵理子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20467385)
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キーワード | リポキシン / 慢性副鼻腔炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸 / アレルギー性鼻炎 / IL-8 / リポキシン受容体 / 鼻粘膜 |
研究概要 |
上気道炎症における制御因子としてのリポキシンA4の役割を検討した。 1.コントロールの鼻汁も含めて29検体の鼻汁中のリポキシンA4濃度をELISA法で定量した。鼻汁中にはリポキシンA4が存在することを初めて確認した。アレルギー性鼻炎患者に高く慢性副鼻腔炎患者で低く、慢性副鼻腔炎患者では特に好酸球性副鼻腔炎患者に高い傾向が認められた。 2.免疫組織学的に、リポキシンA4受容体ALX/FPRL-1が慢性副鼻腔炎患者の鼻茸と下甲介の上皮細胞と粘膜下腺細胞、浸潤細胞に存在することを確認した。 3.慢性副鼻腔炎手術時に採取した鼻粘膜組織27検体でのリポキシン受容体mRNAの発現をReal time PCR法で検討した。mRNAの発現は下甲介粘膜に比べて鼻茸で有意に高かった。疾患別には、鼻茸・下甲介粘膜とも好酸球性副鼻腔炎患者で高かった。 4.リポキシンA4産生などのアラキドン酸代謝に関わる酵素のmRNA発現を、同じ鼻粘膜組織27検体で検討したところ、5-LOと15-LOのmRNA発現が下甲介粘膜に比べて鼻茸で有意に高く、COX-2と12-LOは逆に鼻茸で低かった。 5.培養細胞を用いた検討で、リポキシンA4はヒト正常気管支上皮細胞におけるTNF-alpha刺激時のIL-8産生を抑制した。この抑制作用はリポキシン受容体のアンタゴニストで阻害されたことから、リポキシン受容体を介するものであると考えられた。 以上の結果からリポキシンが気道上皮細胞の受容体を介して気道炎症の制御に関わり、特に好酸球性副鼻腔炎における鼻茸形成などの病態に深く関わっていると考えられた。
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