研究概要 |
マウススギ花粉症病態関連分子BTLAの役割 前年度までの検討で、共抑制分子BTLAが免疫療法をはじめスギ花粉症の病態に関与する可能性が示唆されている。例えば、スギ花粉症患者では末梢血単核細胞をスギアレルゲンCry j1にて刺激するとCD4陽性細胞上のBTLA発現が抑制されるが、特異的免疫療法を行うとその抑制が解除されること、さらに末梢血単核細胞をCry j1にて刺激する際にBTLAシグナルを亢進させるとIL-5産生が抑制することを報告した(OkanoM, et al. Allergen-specific immunotherapy alters the expression of BTLA, a co-inhibitory molecule, in allergic rhinitis. Clinical and Experimental Allergy38(12)1891-1900,2008)。本年度はBTLAノックアウトマウスを用い、スギ花粉症におけるBTLAの機能的かかわりについて検討した。BTLAノックアウト(KO)マウスは千葉大学渡邊紀彦先生よりご提供をうけた。野生型マウス(WT)およびBTLA KOマウスにCry j1を繰り返し点鼻感作し、スギ花粉症病態を作製した。くしゃみや鼻かき回数などの症状、Cry j1特異的IgE・IgG1・IgG2a抗体などの抗体産生、鼻粘膜内好酸球浸潤などの組織変化、顎下リンパ節細胞のIL-4/IL-5などのサイトカイン産生はWTマウスとBTLA KOマウスとの間で有意な差を認めなかった。しかしながら顎下リンパ節細胞のIFN-γ産生に関してはBTLA KOマウスで有意な亢進がみられた。以上の結果より、マウススギ花粉症モデルにおいては、共抑制分子BTLAは特異的なTh1応答を選択的に抑制することが示唆された。
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