研究課題
これまでの本研究で、マウスは系統によりCry j1点鼻によりスギ花粉発症を発症する系(BALB/cマウス:Responderマウス)と発症しない系(C57/BL6マウス:Non-responderマウス)が存在することが明らかとなった。特にCry j 1点鼻による顎下リンパ節のmRNA発現は2系統で大きく異なり、顎下リンパ節における免疫応答がスギ花粉症の発症および不応答に重要な役割を担うことが示された。そこで本年度では、顎下リンパ節を除去したマウスにおいてスギ花粉症の発症が変化するのか解析を進めた。ケタミン麻酔下にBALB/cマウスの顎下リンパ節を両側除去し、生存せしめることが可能であった。創傷が回復した2週後より、スギアレルゲンCry j 1を従来のプロトコールに従い反復点鼻した。最終点鼻感作終了後に症状、血清中Cry j 1特異的抗体価、鼻粘膜好酸球浸潤について、シャム処理を行ったBALB/cマウスと比較した。顎下リンパ節除去を行ったBALB/cマウスではシャム処理を行ったマウスと比較して、くしゃみおよび鼻かき回数が低下したが、有意な差を認めなかった。血清中の抗原(Cry j 1)特異的IgEおよびIgGl抗体価についても同様であった。一方、IgG2a抗体価については同等であった。鼻粘膜浸潤好酸球数についても有意な差を認めなかった。以上の結果より、スギ花粉症マウスモデルの感作・発症における顎下リンパ節の意義は限定的である可能性が示唆された。
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