我々のこれまで検討で、ヒスタミンH4アゴニストにはアレルゲン特異的なサイトカイン産生抑制作用があり、そのメカニズムのひとつとしてGPCRであるメラノコルチン1受容体発現亢進作用を明らかにした。さらに、メラノコルチン1受容体はリガンドであるα-メラノサイト刺激ホルモン(MSH)と結合することによりサイトカイン産生を抑制することを報告した。本年度はα-メラノサイト刺激ホルモンの免疫制御作用について、共刺激分子発現の観点から検討した。すなわち、2009年5~6月にスギ花粉症患者より採血を行い、末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。PBMCをCry j 1にて刺激する際にα-メラノサイト刺激ホルモンを添加した。12時間後に細胞を回収し、CD80およびCD86の発現をフローサイトメーターにて観察した。その結果、α-メラノサイト刺激ホルモンの添加はB細胞および単球上のCD86の発現を有意に抑制することが明らかとなった。一方、CD80発現に関しては有意な変動を認めなかった。これらの結果は、H4アゴニストの免疫制御作用のひとつとしてメラノコルチン1受容体発現亢進作用があり、ヒスタミンH4アゴニストにより発現が亢進されるGPCRであるメラノコルチン1受容体の刺激は、共刺激分子発現を抑制することを介して鼻アレルギーを制御しうる可能性が示唆された。
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