樹状細胞を標的として、すなわち生体内の樹状細胞を活性化することにより効率的に免疫応答を誘導しようという取り組みを行なってきており、非常に有効な戦略であることが、これまでの研究で明らかとなった。今回は樹状細胞そのものを投与した場合に免疫応答が誘導されうるかについて検討した。樹状細胞の細胞株を使用した。in vitroで樹状細胞をインフルエンザ菌の外膜タンパク抗原P6で刺激し、細胞をマウスに対し、経鼻的に投与し、P6特異的免疫応答について検討した。その結果、抗体価の上昇はほとんどなかったが、興味あることにインフルエンザ菌感染は抑制された。その機序として細胞傷害性T細胞の関与が示唆された。また樹状細胞を培養した後の培養上清からexosomeを抽出、精製し、これを経鼻投与することで抗原特異的免疫応答が誘導されうるかについて検討した。その結果、exosomeを投与した場合にはP6特異的抗体価の上昇を認め、インフルエンザ菌感染も抑制された。Exosomeのプロテオーム解析は今後の検討課題であるが、新しい粘膜ワクチンとなりうることが示唆された。
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