ケモカインCCL20は、樹状細胞の粘膜へ誘導させる作用を有することがわかっている。免疫応答の誘導や制御において、樹状細胞は中心的役割を担っているため、樹状細胞をターゲットにした免疫療法やワクチンは効果的であると考えられる。CCL20の鼻粘膜樹状細胞、および鼻粘膜免疫応答への影響について検討した。マウスに対しリコンビナントCCL20 10μgを経鼻的もしくは経腹腔的に投与し、2日後に鼻粘膜を採取し、免疫組織化学およびフローサイトメトリ?にて樹状細胞について解析した。次にCCL20投与後のマウスに対して、インフルエンザ菌のP6外膜タンパクにて経鼻免疫を行ない、抗原特異的免疫応答について解析した。その結果、経鼻的CCL20投与後、粘膜免疫誘導組織であるNALT(nasal-associated lymphoid tissue)中のCD11c^+樹状細胞が増加した。T細胞、B細胞への影響は明らかではなかった。経鼻免疫後、興味あることに経鼻的CCL20投与では抗原特異的免疫応答が増幅させた。このことからCCL20による樹状細胞をターゲットにした新しい免疫療法・ワクチンの可能性が示唆された。
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