研究課題/領域番号 |
20592003
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
三輪 正人 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80247650)
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研究分担者 |
山口 晋太郎 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70337400)
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キーワード | 上皮バリア機能 / シアストレス / 酸ストレス / アレルギー性鼻炎 / 局所治療 / ドラッグデリバリーシステム / イオンチャネル / 気道粘膜 |
研究概要 |
鼻粘膜などの気道上皮の物理的バリア機能を解析し、その異常と疾患の関連性および治療の可能性について研究をおこない以下の知見を得た。 1)生理食塩水の点鼻あるいは噴霧により、鼻粘膜水分蒸散量が低下し、鼻粘膜バリア機能がup-regulateされることを示した。 2)電荷性の上皮バリア機能に対する影響を検索するため、初代培養気道上皮細胞の上皮膜抵抗を測定したところ、陽性に荷電しているポリカチオンで低下、陰性に荷電しているポリアニオンで増加する傾向が認められた。この知見はドラッグデリバリーシステムの観点からも重要であると考えられた。3)抗原鼻誘発検査前後での、鼻粘膜水分蒸散量、鼻粘膜上皮間電位差を測定したところ、誘発後に鼻粘膜水分蒸散量の上昇、鼻粘膜上皮間電位差の減少を確認し、アレルギー反応に伴い上皮バリア機能がdown-regulateすることを証明した。 4)酸ストレスに対する気道粘膜上皮の電気的バリア機能を検索し、気道上皮の電気的バリア機能は、酸ストレスにより低下することを証明した。また、プロトンポンプインヒビターの投与により、その低下が抑制されることを実験的に示した。生体の酸ストレスは、胃酸だけではなく気道上皮細胞自身のプロトンポンプ活性の亢進による水素イオンの放出によるものも考えられる。プロトンポンプに作用する薬剤が、胃酸による食道外粘膜病変や「バリア機能病」といってもよい気道アレルギーひいては広義の気道の炎症性疾患の病態の改善に有効である可能性が示唆された。
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