研究課題
昨年度に引き続いて、鼻粘膜などの気道上皮の物理的バリア機能を解析し、その異常と疾患の関連性および新しい治療の可能性について研究をおこない、以下の知見を得た。1) バリア機能関連タンパクであるフィラグリンの局在を免疫組織学的に検索し、表皮、口腔粘膜上皮、下鼻甲介粘膜(前端部から後端まで)上皮で存在し、気管支粘膜上皮にはないことを、形態学的に確認した。2) 気道上皮がうける様々な物理的ストレスの中でも、今までほとんどわかっていなかったシアストレスの影響を検索するため、初代培養気道粘膜上皮細胞および気管組織に対して適用できるシアストレスが気道上皮の電気的バリア機能に与える影響を解析する装置を作製した。3) 近年酸化ストレスを防御するために水素水が有用であることが報告されているが、今回水素水の点鼻をおこない、鼻粘膜上皮の物理的バリア機能がup-regulateすることを証明した。このことから、抗酸化剤の点鼻が鼻疾患の治療に有用である可能性が示唆された。4) 過酸素も低酸素と同じく、酸化ストレスをひきおこし、細胞のカリウムチャネル活性の変化をひきおこすことを証明し、気道上皮においても検討する必要があることが示唆された。5) グリセリンやヒアルロン酸などの保湿剤の点鼻が、鼻粘膜上皮の物理的バリア機能がup-regulateすることにより効果を発揮している可能性が証明された。
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