研究概要 |
マイクロRNAはより大きなサイズを持つヘアピン構造の前駆体から切り出される22塩基程度の1本鎖RNAであり,翻訳の阻害やターゲットmRNAの安定性に影響を及ぼすことで,遺伝子発現をマイナスに制御する.ヒトでは数百種類のマイクロRNAの存在が報告されており,それぞれのマイクロRNAが複数のターゲット遺伝子を制御しているとされる.マイクロRNAの潜在的な役割については,マイクロRNAの発現パターン解析が腫瘍の予後予測と治療法選択に役立つ可能性が示唆されている.北海道大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座では、喉頭扁平上皮癌細胞株HEp2から樹立した、ドセタキセル耐性HEp2細胞株を用いて、ドセタキセル耐性の機序についての基礎的研究および臨床サンプルを用いた放射線化学療法の予後因子についての臨床的研究を進めてきた.本年度はドセタキセル耐性におけるマイクロRNAプロファイリングを行い、ドセタキセル併用放射線化学療法の治療効果、再発予測に関わるマイクロRNA発現パターンを明らかにすることを目的として、本年度は下記の研究を行った。 「ドセタキセル感受性/耐性細胞間のマイクロRNA発現差異の検討」のうち,網羅的マイクロRNAアッセイをによりマイクロRNAプロファイリングの結果から,同定された感受性細胞および耐性細胞に特異的なマイクロRNAについて,Web上で利用可能なデータベース(miRBase)を用いて,同定されたマイクロRNAの機能やターゲット予測をについての文献検索を行い,臨床サンプルでの発現検討に用いるべきマイクロRNAを選定した.
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