研究概要 |
本年度は(1)培養細胞を用いた研究、および(2)上咽頭癌生検組織を用いた研究を継続した。 (1) 培養細胞として昨年度使用したEBウイルス陽性の上皮細胞の3種類のうち、1種類を継続して使用した。細胞をCDDP1μg/mlの濃度のCDPPで処理し、cell lysateを回収しウェスタンブロットを施行した。BZLF1蛋白,BRLF1蛋白,EA-Dの発現を認め,複製サイクルへの誘導が確認された. (2) 化学放射線治療を施行された未治療上咽頭癌11例において、治療開始前の上咽頭癌組織、および5-FU(800mg/m^2/日×5日)の後にCDDP(50mg/m^2/日×2日)を施行した直後に採取した上咽頭癌組織を用いて、免疫組織学的に複製サイクルの誘導の有無を検討した。BZLF1蛋白およびEA-D蛋白に対する抗体を用いて免疫染色を試みたが、適切に評価しえなかった。その理由として、免疫染色に使用しえる、BZLF1蛋白およびEA-D抗体に対する適切な陽性コントロールが見いだせず、染色されたシグナルが目的とする蛋白であるか定かではなかったためである。解決策として、凍結した生検組織を用いてウェスタンブロットを行い、これらの蛋白の発現を検討するほうが適切であると思われたが、新たな症例は限られており実施にはいたらなかった。
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