睡眠呼吸障害はいびき・睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠時の呼吸異常を包括する病態である。睡眠呼吸障害のほとんどは上気道閉塞に伴うものであることから、睡眠呼吸障害の病状としていびきはほぼ必発であり、いびきは睡眠中の上気道の閉塞状態に関する重要な情報を含んでいると考えられる。本研究では、いびきの音響解析法を軸に、睡眠中の呼吸様式と、3次元CTによる安静時の上気道形態の解析を組み合わせ、非侵襲的で正確な上気道閉塞部位診断法を確立することを目的とした。 本年度は鼻呼吸時および口呼吸時の上気道閉塞部位といびきの音響特性について研究を行った。 方法:1)睡眠呼吸障害患者の終夜睡眠ポリグラフ検査時に同時にいびきの録音を行い、音響解析した。検査の際、ポリグラフには気流感知様のセンサーを鼻呼吸用と口呼吸用に独立して2チャンネル使用し睡眠中の呼吸様式を確認できるようにしておき、鼻呼吸および口呼吸におけるいびきの音響特性を確認した。2)三次元CTを安静仰臥位で(1)鼻呼吸(閉口)(2)Muller法(鼻をつまみ閉口のまま吸気)(3)口呼吸(「開口距離」を基本とする)の3条件で撮影した。次いでVolume Rendering法で上気道の3次元構築を行い、各部位の計測を行い、各条件で比較した。 この結果、口呼吸にともなういびきの音響特性の変化には、複数のタイプが有るが、口呼吸により1000Hz周辺の音圧が著明に増大するタイプでは、上気道閉塞部位として、両側の口蓋扁桃が予想される事が明らかになった。
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