睡眠呼吸障害はいびき・睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠時の呼吸異常を包括する病態である。本研究では、いびきの音響解析法を軸に、睡眠中の呼吸様式と、3次元CTによる安静時の上気道形態の解析を組み合わせ、非侵襲的で正確な上気道閉塞部位診断法を確立することを目的とした。 いびきの音響特性は、呼吸様式による上気道形態の変化に大きく影響されるため、本年度は昨年度の研究を発展させ鼻呼吸時および口呼吸時の上気道形態の3次元CTでの評価を、3D-multi planner reformationによる2次元的な計測と3D volume rendering imageによる3次元的な上気道体積の算出をおこない、呼吸様式による上気道形態の変化について総合的に詳細な検討を行った。 方法: CTを安静仰臥位で(1)鼻呼吸(閉口)(2)口呼吸の2条件で撮影した。撮影は0.625mmスライスの条件で行い、画像データをDICOM形式で保存し、データ解析はOsirix (Macintosh用画像解析フリーウェア)を用いて行った。次いで3D-multi planner reformationにて下顎角部の上気道幅径、上気道部断面積を算出、更にVolume Rendering法で上気道の3次元構築を行い、上気道体積の計測を行い、各条件で比較した。 結果: 性別を問わず口呼吸状態では上気道全体の形態変化があり、3次元的にみた上気道体積も減少する事が明らかとなった。この結果は、OSASの治療における鼻呼吸の重要性を裏付けるものと考えられる。またOsirixを用いた3次元CT画像解析による上気道形態評価法は、高価な機器を必要とせず、非侵襲的でかつ、視覚的、客観的に明確な形態診断が可能であることが示され、診断法としての普及の可能性が考えられた。
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