研究概要 |
頭頸部扁平上皮癌細胞を用いてD-alloseによる増殖抑制効果を確認し、allose25mM投与後72h後の抑制効果はHSC3,Ca9-22cell lineでは40-50%程度の抑制効果を認めた。同様に検討したHSC4,KON,SAScell lineでは5-10%程度の抑制効果しか認めなかった。Realtime PCRの検討で、TXNIPの発現はHSC3,Ca9-22で12-23倍の増加を認めたが、それ以外の細胞では3-4倍程度の増加に止まり、TXNIPの発現変化が増殖抑制効果と最も相関していた。alloseを投与するとglucoseの細胞内への取り込みが阻害され、増殖抑制効果のひとつの機序と考えられるが、TXNIPによる細胞周期関連やp53の変化はもう-つの増殖抑制の作用機序と考えられた。また、glucose高濃度の存在下ではalloseの細胞増殖抑制作用は減弱したが、そのメカニズムのひとつとしてglucoseの存在下ではTXNIPの発現が抑制されることが明らかになり、glucoseとalloseは競合的に働き、細胞内への取り込みを競合阻害するとともにTXNIPの発現にも関与することが明らかになった。次いで、in vivoの実験系において、HSC3 cellをヌードマウス皮下に移植し、生着後allose(10mM)を腫瘍周囲に局注(5回/週、2週)すると、コントロール群では生着後2週間で腫瘍が約3倍に増大したのに比べてalloseを注射した群では約2倍に増大が抑制された。さらに0.75MTD濃度のnedaplatin,docetaxelをallose開始時に腹腔内投与すると、2週後の腫瘍の体積は生着時とほぼ変わらない程度に抑制された。In vitroで得られた結果とほぼ同傾向の結果が得られたことからalloseの抗腫瘍効果がより明確になったが、その作用機序に関しては現在解析中であり、in vitro同様にTXNIPの発現亢進やp53,サイクリン関連の遺伝子の発現の変化を検討中である。
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