研究概要 |
in vivoの実験系において、HSC3 cellをヌードマウス皮下に移植し、生着後allose(10mM)を腫瘍周囲に局注(5回/週、2週)すると、コントロール群では生着後2週間で腫瘍が約3倍に増大したのに比べてalloseを注射した群では約2倍に増大が抑制された。さらに0.75MTD濃度のnedaplatin,docetaxelをallose開始時に腹腔内投与すると、2週後の腫瘍の体積は生着時とほぼ変わらない程度に抑制された。その作用機序に関して、摘出標本からmRNA,タンパクを抽出し、TXNIPの発現亢進やp53,サイクリン関連の遺伝子の発現の変化を検討した。In vitroの実験系と同様に、allose投与によりTXNlPの発現が増強していることがmRNA,タンパクレベルで確認された。また、docetaxelを併用した群ではallose単独にくらべTXNIPの発現がより増強していた。このことから、生体内での抗腫瘍効果でもTXNIPの発現増強が主要な役割を担っていることが推測された。生体内での抗腫瘍効果に関しては、腫瘍抑制効果が一時的なものか、アポトーシスや壊死による永続的なものであるかを長期間の観察により検討する予定である。放射線との併用効果を確認するため、HSC3 cellにX線を照射し、放射線単独、alloseを6時間前に投与した群を比較すると、allose併用により約1.6倍の放射線増感作用が得られた。また、allose投与後にRTを照射した群ではp53,p21の発現が増強することがmRNAレベルで確認された。TXNIPはRT単独でも軽度発現が増強するものの、alloseによる増強作用が強いため併用による相乗効果は乏しかった。放射線併用による抗腫瘍効果に関しては、今後3D培養による検討により、より生体内での反応に近い条件で効果の有無を検討する予定である。
|