研究概要 |
放射線との併用効果を確認するため、2次元培養のHSC3 cellにX線を照射し、放射線単独、alloseを6時間前に投与した群を比較すると、25mM allose併用により2.1倍の放射線増感作用が得られた。3D cultureを用いた系では、6Gyの単独照射に比べて、25mM allose単独では1.8倍、25mM alloseを併用すると約5倍の放射線増感作用を認めた。また、allose投与後にRTを照射した群ではTXNIPの発現が増強することがmRNA、蛋白レベルで確認され、TRXの発現はalloseの投与によって抑制された。さらに、活性酸素(ROS)の発生は放射線単独、allose単独、放射線、allose併用の順に発現が増強された。すなわち、allose投与による放射線増感作用のメカニズムとしてredox制御系を介したROSの産生が関与していることが示唆された。昨年のin vivoの実験系において、長期的な効果や、必要な濃度、投与回数に関しては検討が不十分であった。そこで、前回と同様の実験系に加え、500mM 0.2ml 3週投与群、50mM 0.2ml 3週投与群で比較した。その結果、500mM 0.2ml 2週投与群では投与終了の時点(2週後)ではコントロール群に比べ65%程度に抑制されたが、投与開始から30日の時点では再増大を来し、腫瘍体積はコントロール群と同等であった。3週投与群では投与終了後も腫瘍の増大は抑制され、投与開始から30日の時点で、コントロール群に比べ30%程度に抑制され、その効果は500mM,50mMで有意な差を認めなかった。すなわち、濃度的には10分の1量でも同等の効果が得られ、継続的な投与により腫瘍抑制効果を維持できる可能性が示唆された。
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