研究課題
糖尿病網膜症に対する光凝固治療後などの新しい治療評価マーカーとして、また、新しい抗新生血管抑制薬になる可能性の検討のために今回の研究の目的である。目的因子として我々はバソヒビンに注目した。平成22年度には以下の重要なことが判明した。(1)前年度の報告の継続になるが、糖尿病網膜症患者血漿約250名分は血漿中のバゾヒビン濃度と網膜症の程度などの臨床データとは相関が見られなかった。しかし増殖性の変化が強いほど血漿中のバソヒビン濃度が低四頃向にあった。(2)糖尿病網膜症患者の前房水、硝子体液を東北大学倫理委員会の承認のもとバソヒビンの発現のみでなく、さらに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)や虚血時に各種遺伝子発現のマスターコントロール的役割を行うhypoxia-inducible factor (HIF)の発現に影響を与える因子の発現を検討した。これらの検討を行い、バソヒビンの関与を検討できることで、バソヒビンの糖尿病網膜症への関与をさらに詳細に理解でき、また治療薬としての可能性を検討できると考えた。HIF発現はHIFのcis-elementであるhypoxia-responsive element (HRE)にGFP遺伝子を融合させたベクターを網膜色素上皮細胞内に導入し、細胞内のGFP発現を蛍光顕微鏡か遺伝子発現をreal-time PCRで確認しHIFの発現として検討し、さらにウエスタンでも発現を確認した。その結果前房水、硝子体液の培地中への添加でVEGFとGFPは発現が有意に相関することが判明した。かなり厳密に相関し、本システムが有効に使用できることが確認された。また、これまでの検討では糖尿病網膜症硝子体中にはHIF(GFP)発現を誘発する因子が有意に多く含まれていることも判明した。今回のこれまでの検討では、サンプルは採取後一旦保存されるためにサンプル中の酸素濃度との関係でHIFの発現が左右されるものではなく、さらに違う因子がHIF発現に影響を与えていると推測された。実際にサンプル間の酸素濃度に差はなかった。したがって今後はHIF発現に影響をあたえるものの解析とバソヒビンとの相関を確認する価値があると考えられた。
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Biomaterials
巻: 32 ページ: 1950-1956
Adv Med Exp Biol
巻: 未定(in press)
Invest Ophthalmol Vis Sci
http://www.ctaar.med.tohoku.ac.jp/dcct/