光干渉断層計によるラット網膜神経線維層厚の計測:再現性と定量性の検討 Brown Norwayラット(生後約12週)を使用し、片眼の視神経挫滅モデルを作成し、われわれが開発したラット専用光干渉断層計によって網膜断層像を経時的に記録した。網膜断層像を画像解析ソフトに取り込み、網膜神経線維層厚を計測した。同一眼で、同一スキャンを同一日あるいは隔週(0〜4週)で反復し、測定の再現性を検討した(n=9)。視神経乳頭を中心とした径500μmのサークルスキャンのcoefficient of repeatabilityは、挫滅眼、対照眼ともに2.5μm以下であった。また、対照眼において隔週で撮影した断層像のcoefficient of reproducibilityは2.5μm以下であった。測定値の再現性は、ヒト臨床での光干渉断層計の報告と同等であった。光干渉断層計によるラット眼底の撮影後に、過量のペントバルビタールの腹腔内麻酔下に両眼を摘出し、パラホルムアルデヒドとグルタールアルデヒドにて組織を固定し、後部眼杯を包埋して網膜のパラフィン切片を作製した。ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、光学顕微鏡用デジタルカメラで撮影した。光干渉断層計による視神経乳頭中心から400、500、600μmでのリニアスキャンに対応する網膜切片において、画像解析ソフトにて網膜神経線維層厚を計測した。各眼(0週5眼、1週3眼、2週5眼、4週9眼)において光干渉断層計と組織切片での網膜神経線維層厚を比較したところ、相関係数r=0.90、p<0.001と良好な正の相関がみられた。以上より、ラット専用光干渉断層計による網膜神経線維層厚の測定の再現性と定量性は良好であると考えられた。
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