研究概要 |
ラット専用光干渉断層計(optical coherence tomography、OCT)の活用:自動計測プログラムの検証と視神経挫滅モデル以外のモデルでの検討 本年度は、平成21年度の研究計画にて作成したラット網膜各層厚の自動計測プログラムを使用し、エンドセリン(ET-1)硝子体内注入モデルにおいてOCTの有用性の検討に取り組んだ。 Brown Norwayラット(200~250g、n=5)の片眼の硝子体内にET-1(200pmol)を注入した。他眼にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を注入した。硝子体内注入前、1、2、4週後に視神経乳頭を中心とした径500μmのサークルスキャンを行い、10回加算平均画像において自動セグメンテーションと手動補正によって網膜全層、網膜神経線維層、網膜内層、網膜外層の厚みを計測した。さらに、ET-1注入4週後のOCT撮影後に網膜伸展標本を作製し、抗Thy-1抗体を用いた免疫染色によって網膜神経節細胞数を定量した。 その結果、OCTによってET-1硝子体内注入による特徴的な網膜障害を経時的に描出できた。網膜内層厚はET-1注入後1週目には有意に減少し、2、4週後にはさらに減少した。網膜神経線維層厚はET-1注入後1週目には有意に増加したが、その後減少した。網膜伸展標本のThy-1陽性細胞数は、ET-1注入眼(2466±405/mm2)の方がPBS注入眼(3535±431/mm2)よりも有意に少なかった(p<0.001)。ET-1注入4週での網膜神経線維層厚はThy-1陽性細胞数と有意に相関した(r=0.74,p=0.014)。 以上のように、網膜各層自動計測プログラムはET-1硝子体内注入モデルでのOCTによるラット網膜層厚の定量に有用であり、今後他のラット網膜障害モデルにおいても網膜各層の変化をin vivoで経時的に定量できる可能性がある
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