研究概要 |
前年度の研究により水晶体の発達、白内障発症に、miRNAの関与があることが示唆された。本年では、水晶体の加齢および白内障発症に関与するマイクロRNA(miRNA)の大規模発現解析(マイクロアレイ)の結果より、miRNAの標的遺伝子予測の結果を検討した。白内障動物モデルであるShumiya Cataract Rat(SCR)をもちいた、実験にて変動がみられたmiRNAには、miR29a,29c,126,551bがあったが、Sanger miBase Softwareにより、これらmiRNAが制御する遺伝子のうち白内障に関連なるものとしてperoxiredoxin6や、Tropomyosin,TGF-βなどが予測された。実際に、これら遺伝子をmiRNAが制御しているかどうか検討することを目的とし、miRNAパスウエイの抑制をmiRIDIAN miRNA mimicsを用いて行なった。miR551bを抑制するとターゲット遺伝子として予測された水晶体の抗酸化タンパクであるPeroxiredoxin6(Prdx6)の発現上昇がみられた。またmiR29cを抑制するとTropomyosinの発現上昇がみられた。Prdx6およびTropomyosin発現変化は、白内障動物モデルのSCRの水晶体においても観察された。よってmiR551bはPrdx6の翻訳を制御し、miR29cはTropomyosinを翻訳レベルで制御することが分かった。 現在、miRNAを模倣したこの分子を細胞に直接導入し、特定のmicroRNAの活性をアップレギュレートしてmiRNAが持つ生物学的な影響を調べている。
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