研究課題
光干渉断層計『エラー解析』に関しては、黄斑部3次元スキャン画像における神経線維層厚、内層3層(神経線維層+神経節細胞層+内網状層)の手動および自動計測の再現性をセクターごとに明らかにした。また、OCTが初期の神経線維層欠損の検出感度が低い原因として、スペックルノイズが欠損部のセグメンテーションのエラーの原因になっていること、スペックルノイズを除去すると経線維層欠損の検出感度が有意に向上することを示した。『緑内障黄斑解析プログラム』としては、昨年の成果を生かし、黄斑部の神経節細胞層厚が、網膜全層厚や乳頭周囲神経線維厚など他の緑内障診断パラメーターよりも緑内障検出感度が高いこと(特異度は同等)を示した。また、視野が異常が出る前の早期緑内障において、黄斑部を区画したときの下方の黄斑周辺部において神経節細胞層厚が正常の50%以上の菲薄化を認める症例が半数存在することを示した。これらは、黄斑部の神経節細胞層厚が、視野異常出現前の極めて早期の段階で緑内障を発見する有力なパラメーターであることを示唆した成果である。また、黄斑部は初期緑内障の黄斑障害の特徴として、上下の対称性の崩壊が重要であることを示した。正常な黄斑部は網膜各層の対称性が高く、年齢とともに各層厚は菲薄化していくが、対称性は保たれることを見いだした。これに対して、緑内障は早期でも、局所の菲薄化により対称性が崩れ、この対称性低下の検出が初期緑内障の発見に有用であることを示した。これらの成果は、黄斑部の神経節細胞層という単一層の形態を捉えることが緑内障診断に重要であることを世界に先駆けて示した成果である。
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