研究課題
抗体を用いた動物実験については現在抗体の入手と連絡をとり、返事待ちの段階にある。申請分野である糖尿病網膜症の臨床面については下記の英文論文を一報報告している。具体的には糖尿病網膜症患者で両眼とも汎網膜光凝固を必要とする症例において、術前のステロイドテノン嚢下投与(トリアムシノロン、20mg)で光凝固後の黄斑浮腫や視力低下を防止できるかを検討するため、片眼はステロイドテノン嚢下投与+汎網膜光凝固、もう片眼は汎網膜光凝固のみというデザインで視力と黄斑部網膜厚をエンドポイントとするrandomized controlled studyを施行した。41例82眼が対象となり、6ヶ月間外来観察を継続した。視力については術前両群間で有意差はなかったが、術6ヶ月後ではステロイド術前投与群で対数視力が平均で0.072改善したのに対し、非投与群では平均で0.01の低下がみられ、有意差をみとめた(p=0.04)。黄斑部網膜厚についても術前両群間で有意差はなかったが、術6ヶ月後ではステロイド術前投与群が平均で9.7μm改善したのに対し、非投与群では32.8μmの浮腫増悪がみられ、有意差をみとめた(p=0.03)。ステロイド投与で懸念される眼圧上昇についても検討したが、両群間で有意な眼圧の差はみられなかった。これらのデータから、糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固では、術前のステロイドテノン嚢下投与は術後の黄斑浮腫増悪防を止する有効な治療となりうることを世界に先駆けて報告した。
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British Journal of Ophthalmology
べんちのーと 19
ページ: 12-13