動物モデルを用いた視神経刺激による視神経、網膜への効果の検討 今年度我々は、上記目標を達成するため、まず対象動物としてラットを用い、その視神経乳頭に、顕微鏡下にて、作成した先端が鋭の直径100μmの白金イリジウム電極を刺入することに成功した。刺入後、電極を通じて視神経を電気刺激することができた。まず刺激によるタンパクレベルの変化を検討するため、全眼球(電気刺激眼および僚眼)からのサンプルを採取中である。集めたサンプルを用いて、Western blotによる分析、免疫染色による分析等を施行する。 刺激電極に使用する素材の安全性の検討 また、慢性刺激にも通用する刺激電極のコーティング素材についても現在検討中である。従来、コーティング素材としてパリレンを用いていたが、テフロン素材について検討した。家兎眼硝子体内にテフロンコーティング白金イリジウム線を実際視神経刺激型人工視覚で硝子体内に留置する長さと同等の長さだけ留置し、3ヶ月を経てもなにも留置していない僚眼のERGと有意差がないことを示した。6ヶ月まで経過を追う予定であるが、3ヶ月までは電気生理的に毒性がないと考えられた。長期埋植用のコーティング素材として、テフロンも有用である可能性が考えられる。 中型動物を用いた電気生理学的検討 電気生理学的検討のため用いる予定であった当院において開発した網膜変性家兎モデルは、網膜全体が傷害を受けているものではなかったため、現在、より広汎な網膜変性が生じるトランスジェニック網膜色素変性家兎の使用を検討しており(名古屋大開発)、まず、脈絡膜上経網膜刺激方式(STS)において、当家兎が有用か否かを確認中である。
|