研究概要 |
1、 動物モデルを用いた視神経刺激による網膜への効果の検討 動物モデルに対する視神経刺激の効果を組織学的に検討した。具体的には、網膜色素変性ラット(RCSラット)を用い(n=6)、結膜切開後、強膜側から可能な限り視神経に近い部分に刺激電極を刺入し、1週間毎に4回電気刺激を施行(1ms, 100μA, 20Hz, 1時間)し、最終通電終了1週間後、眼球を摘出し、通電眼、sham眼、それぞれの反対眼の網膜視細胞(個数:視機能を反映すると考えられる)を比較検討した。結果、通電眼、その反対眼に網膜視細胞核数がsham眼よりも多く保たれている傾向にあったが、有意差は認めなかった。ラット数を増やし確認する必要があるが、通電眼に加え、その反対眼においても視細胞が保存されている可能性があることは、実際の臨床試験の結果と一致し、当系における同刺激条件を用いることにより今後視神経電気刺激による視機能再生のメカニズムを明らかにすることができる可能性があると考えられた。 2、 中型動物に対する視神経刺激型人工視覚眼球埋植装置部分の安全性の検討 今回の研究を通じて、ラットを用いて複数回視神経を硝子体側から刺激することが困難であると考えられたため、より大きな中型動物を用いるための、眼球埋植装置部分の安全性を検討した。具体的には、眼球内に埋植する電極線、接続装置、体内装置本体に続く配線、を一体化させた部分を結膜切開後、家兎の強膜に縫合し、結膜で被覆し、生体に対する安全性を6ヶ月にわたり、確認した。眼球に炎症等の合併症は認められなかったため、今後中型動物において、慢性的な視神経電気刺激をもちいた研究が施行できると考えられた。
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