研究概要 |
糖尿病自然発症トリイ(SDT)ラットを・糖尿病自然発症モデルとして使用した。生後10,20,40週まで血糖、HbA1c、体重、眼圧を測定した。これらの時点で、眼球または綱膜を摘出し、網膜冷凍薄切切片または伸展標本を作製した。対照として同週数のSprague-Dawley(SD)ラットから眼組織を摘出した。これらの組織に対して、Terminal dUTP nick end labeling(TUNEL)染色およびglial fibrillary acidic protein(GPAP)またはaquaporin(AQP)1,4,9に対する免疫染色を行った。GFAPはSDTラット10週およびSDラットではastrocyteしか発現していなかったが、SDTラットでは週令が増えるにつれ、astrocyteでの発現が減少し、ミュラー細胞での発現が増加した。これと一致してAQP1のastrocyteでの発現が増加した。AQP4では内網状層での発現が増加した。SDTラット40週ではTUNEL陽性細胞が神経節細胞層で増加した。 糖尿病乳頭症では綱膜毛細血管からの透過性亢進がないにもかかわらず。黄斑浮腫を来たすことが知られていた。糖尿病綱膜症のない糖尿病乳頭症患者に光干渉断層検査を行うことで、この黄斑浮腫が、漿液性網膜剥離であることを初めて見出すことができた。視神経乳頭におけるKuhntの中間グリア組織の破綻による、視神経乳頭からの液性成分の漏出がこの原因と推察された。血液綱膜柵は、綱膜毛細血管、綱膜色素上皮に加えて、第三の要素として、この組織も関わっていることが示唆された。
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