研究課題/領域番号 |
20592044
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
河野 玲華 岡山大学, 病院, 医員 (40301296)
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研究分担者 |
大月 洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70093672)
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キーワード | 眼科学 / 眼球運動 / 非共同性斜視 / pulley(プリー) / 上斜筋麻痺 / MRI / 外眼筋 / 滑車 |
研究概要 |
眼窩制御靭帯(プリー)の位置異常(heterotopy)が非共同性斜視の原因であるという仮説を検証することを目的に、この研究を行っており、プリーの位置異常が非共同性斜視のひとつである上斜筋麻痺様の所見を呈すことは既に報告してきた。しかし、プリーの位置異常のみならず、滑車の位置異常(後方偏位)により上斜筋腱が短縮して走行異常をきたし、上斜筋麻痺様の所見を呈するという報告がある。その頻度についての報告は未だなく、プリーの位置異常との関連についても不明である。その頻度を検証するために、先天、特発性上斜筋麻痺を対象に上斜筋腱、滑車の形態を解析した。15例の平均年齢(レンジ)が27.2歳(8-73歳)の先天上斜筋麻痺、および19例の平均年齢が51.5歳(23-83歳)の特発性上斜筋麻痺を対象に、サーフェイスコイルを用いて眼窩を軸位断、冠状断、矢状断でMRI(T1強調像、1.5T)撮像し、上斜筋腱の走行異常、滑車の位置偏位、および筋腹の低形成の有無を中心に解析した。先天上斜筋麻痺のうち、1名(6.7%)に患側の腱、筋腹、滑車の欠損を、2名(13.3%)に患側の腱の走行異常を認めた。この2名は腱の走行異常に加えて患側の筋腹の低形成、および滑車の後方への位置偏位を合併していた。特発性上斜筋麻痺では、1名(5.3%)にのみ患側の腱の走行異常を認めたが、滑車、筋腹の形態には異常はなかった。先天上斜筋麻痺では腱の走行異常、滑車の位置偏位、筋腹低形成を合併する症例が、特発性に比べると多く、上斜筋筋腹の低形成(萎縮)を認めない上斜筋麻痺では、上斜筋腱、滑車の形態異常の頻度は低い。
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