研究課題/領域番号 |
20592044
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
河野 玲華 岡山大学, 大学病院, 医員 (40301296)
|
研究分担者 |
大月 洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70093672)
|
キーワード | 眼科学 / 眼球運動 / 非共同性斜視 / pulley(プリー) / 上斜筋麻痺 / MRI / 外眼筋 / 滑車 |
研究概要 |
研究目的:プリー(pulley)の位置異常は非共同性斜視の原因になるという仮説を検証することを目的にこの研究を行った。 研究成果:MRIによる上斜筋麻痺の直筋プリーの位置の解析 非共同性上下斜視を代表する上斜筋麻痺を対象にして、MRIを用いて直筋のプリーの位置を調べた。頭部傾斜試験陽性で、臨床的に上斜筋麻痺と診断した、先天性、特発性の患者23例のMRI冠状断から上斜筋筋腹の最大断面積と直筋プリーの位置を計測した。正常者14例の上斜筋筋腹の最大面積の95%信頼区間に含まれるもの上斜筋非萎縮群、含まれないものを上斜筋萎縮群とした。プリーの位置を20眼の正常コントロールのそれと比較した。上斜筋萎縮は12例(52%)に認められた。萎縮群では患側のpulley array(4直筋プリーの位置)は、正常コントロールと比較して、垂直方向には5.3°、水平方向には5.9°、非対称に外方回旋偏位しており、その平均は5.6°であった。一方、非萎縮群では、正常コントロールと比較して外方回旋の傾向はあるものの明らかな差は認めなかった。臨床データから求めた自覚的外方回旋偏位は、萎縮群で平均3.6°非萎縮群は平均2.3°であった。頭部傾斜試験による従来の基準で診断された上斜筋麻痺では直筋プリーの位置は外方回旋方向に移動しており、直筋プリーの位置異常が、斜筋の機能障害の機械的影響を増強することを示唆している。すなわち、プリーの位置異常は非共同性斜視の原因の一因を担うと推察する。
|