研究概要 |
本研究は角膜上皮創傷治癒過程における神経ガイダンス因子であるSemaphorin3Aの機能解析を目的とし、平成20年度の成果を元にさらに角膜上皮細胞の分化に関与する他のサイトカインおよび、実質細胞に対する影響を検討した。 培養したヒト角膜上皮細胞(SV40-transformed)、角膜実質細胞を用いて、炎症性サイトカインまたはSemaphorin3Aの機能に重要であるそのreceptorの発現をRT-PCR,またはWestern Blot法を用いて調べた。 その結果、角膜上皮創傷治癒過程でのSemaphorin3Aのreceptorの発現はその治癒過程の時間経過と伴って、発現するタイプが変わって来ることがわかった。 治癒初期段階では、semaphorin3Aの発現と共にそのreceptorである、PlexinAより、Neurophilinlの発現が顕著に増加していることが見出された。 また、炎症性サイトカインである、IL-1, IL-6, TNF-αの発現に対しては、IL-1、およびIL-1RAの発現が深く関わっていることや、その発現に角膜実質細胞内のMMMP-2の発現が調節されていることが明らかになった。 このことから、角膜創傷治癒ではSemaphorin3Aの発現とそのreceptorの調節が密接に関わっていること、さらにそれに伴った、サイトカインの発現の調節も角膜細胞の恒常、機能に神経性因子の役割の重要性が示唆された結果となった。
|