研究概要 |
網膜芽細胞腫のパラフィン切片で免疫組織組織学的検討を行った。HE 染色に加え、Sonic hedgehog/Gliシグナル関連抗体と増殖系グナルのマーカーを検討した。Sonic hedgehog,Smoothend,Patched,Gli-1は、どれも腫瘍細胞内の随所で強発現していた。Rb、Erk-1についても同様の所見が観察された。網膜芽細胞腫においてSonic hedgehog/Gliシグナル経路の活性化が腫瘍増大に関与することが示された。また、増殖系グナルのマーカーが強発現していたことで腫瘍特有の細胞増殖が示された。 正常ヒト皮膚繊維芽細胞と血管内皮細胞の共培養を用いて、マーカーCD31の免疫組織化学的発現からin vitroの血管新生に対する内因性Sonic hedgehogシグナルの抑制の効果をシクロパミンを用いて検討した。シクロパミンは,CD31 陽性の管腔形成を抑制し、内因性Sonic hedgehogシグナルは血管増生に関与していることが判明した。in vivoでの網膜芽細胞腫の血管新生阻害による増殖抑制効果が示唆されたが、In vivoでの研究は今後の課題である。 網膜芽細胞腫由来の細胞株を遠沈し、ペレット状にして、26G 針でマウス眼の前房内に移植した。一定期間御に屠殺、眼球摘出し、パラフィン切片を作成した。腫瘍細胞の著しい増殖は観察されず、隅角に細胞が少数増殖していた。シクロパミンの全身投与に寄る実験的な眼内の腫瘍に対する治療効果の判定には、さらに、眼内で腫瘍細胞が増殖できるシステムを開発する必要があると結論した。
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