研究課題
【目的】Photopic negative response (PhNR)には、局所網膜の網膜神経節細胞に由来し、緑内障眼ではその振幅が選択的に低下する。そこで今回、局所ERGで得られfocal PhNRと全視野刺激ERGで記録されたfull PhNRの緑内障診断における感度および特異度を比較検討した。【方法】開放隅角緑内障(OAG)103例103眼および正常42例42眼を対象とした。Hodapp-Parrish-Anderson分類に従って、OAG眼を早期、中期および晩期にステージ分類した。局所ERGは、直径15°の刺激スポットを用いて、黄斑部とその上耳側ならびに下耳側から記録した。全視野刺激錐体ERGは青背景光と赤刺激光を用いて記録した。ROCカーブを作成し、likelihood ratioが最大になるようにcut-off値を設定して、感度および特異度を求めた。Focal PhNRでは、三箇所の刺激部位のいずれかでfocal PhNRがcut-off値以下の場合に緑内障とし、三箇所全てで局所PhNRがcut-off値を上回った場合に正常とした(combined criterion:CC)。【結果】full-neld PhNRとfocal PhNRの特異度は、記録部位ならびにステージにかかわらず90%以上であった。早期群(n=41)のfhll-field PhNRの感度は38.1%で、focal PhNRの感度は58.1~80.7%であった。Focal PhNRの感度はfull-field PhNRのそれよりも有意に高かかった(P<0.01)。CCを用いると、focal PhNR感度は、90.6%に有意に改善した(P<0.05)。中期(n=28)でも、CCで得られたfocal PhNRの感度はfull-field PhNRのそれよりも高かった(P<0.05)。晩期(n=34)ではfocal PhNRとfull-field PhNRの感度は変わらなかった。【結論】focal PhNRはfull-field PhNRに比較して、早期緑内障の機能障害を検出する能力により優れていると考えられた。
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J Ophthalmology
巻: 2011, Article ID564131 ページ: 1-11