研究概要 |
本研究の目的はビタミンCノックアウトマウスの眼科的所見を解明し、加齢性眼疾患とビタミンCとの関連を明らかにし、その治療・予防の可能性を探ることである。 平成20年度は、水晶体に着目して解析を行った。ノックアウトマウスにビタミンCを充分に与える群と、壊血病を発症しない必要最低限のビタミンCのみのビタミンC欠乏群の2群の観察を行った。その結果、両群ともに50週齢までの自然経過において白内障の発生は認められなかった。マウスの飼育条件が比較的光量の少ない環境であること、50週間という期間が短いことが原因と考えられた。 次に、無散瞳下で1か月間10,0001uxの光負荷を両群に行った。その結果、水晶体の混濁は生じなかったが、ビタミンC欠乏群では有意な水晶体タンパク濃度の低下が認められ、またPKCγの発現量の低下が確認された。これまでの報告ではPKCγは酸化ストレスで上昇することとされており、今回代償的なグルタチオン濃度の上昇も認められず、酸化ストレスとは違った機序の減少である可能性が示唆された。 今後次年度以降の課題として、UVBや高圧酸素などによる負荷を行い、確実に白内障を作成すること、白内障が作成された場合はその程度が同条件下でのwildタイプとどの程度異なるのか、またその白内障はビタミンC投与によってレスキューすることができるのかを検索し、代表的な加齢性眼疾患である白内障と酸化ストレス・抗酸化因子(特にビタミンC)との関連を解明する。
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