研究課題
申請者は造血幹細胞移植患者涙腺GVHDと酷似する、マウスGVHDモデルを用いて、次の研究目標を達成することを目的とした。1)GVHDにおけるドナー由来線維芽細胞の細胞源の詳細な解明2)ドナー由来線維芽細胞による眼GVHDの発症機構と病態形成にかかわる役割3)GVHD炎症および線維化形成における分子機構の解明と治療法の開発GVHDにおけるドナー由来線維芽細胞の細胞源の解明に着手し、造血幹細胞、間葉系幹細胞由来である可能性を多方面から検討した。造血幹細胞、間葉系幹細胞のみを単離し、培養を経ずに新鮮間葉系幹細胞および造血幹細胞を移植して経過を観察した。レシピエントマウス涙液および組織学的検査による線維芽細胞の増殖過程の経時的解析によりGVHDによるドライアイや線維化の発症時期を正確に捉えることができた。次に、ドナー由来線維芽細胞の候補となる細胞源の除去移植を施行し細胞源除去を行わない標準の骨髄移植と比較解析し、単位面積のドナー由来線維芽細胞数の減少の有無を比較した。代替の方法として、ドナーのB10.D2(H-2d)GFPマウス骨髄より、間葉系幹細胞、造血幹細胞、SP細胞をそれぞれ分離して、野生型ドナーマウスの全骨髄細胞と、GFPドナーマウスのGFP陽性各種骨髄幹細胞のそれぞれの分画を同時に移植し、眼GVHD病変部でのGFP陽性骨髄幹細胞の局在、遊走部位および病態形成への経時的変化を直接的に証明した。GFPとHSP47の共発現でドナー由来線維芽細胞を検出し、発症機構と遊走経路を含め解析した。病変部位に各種骨髄幹細胞をGFP細胞に置き換えて移植して、GFP陽性間葉系幹細胞由来の線維芽細胞が病変部位に多数集積していることが確認された。末梢血中のIL-6等のサイトカインの濃度は移植後3から4週時に著しい増加を認めた。造血幹細胞、間葉系幹細胞とGVHDの発症には関連性があると考えられた。今後発症時期の病態解明をすすめ、GVHDの治療や予防に貢献する可能性があると考える。
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