【目的】リン酸カルシウム複合体を形成した高分子ゲルからなるソフトコンタクトレンズ(SCL)から、プラスミドDNAを持続的に放出することによって、プラスミドDNAを培養ヒト角膜上皮細胞(HCE-T)に導入する検討を行った。 【方法】リン酸基を側鎖に有するSCLの合成を行った。得られたSCLにカルシウムイオンを介したプラスミドDNAとSCLの複合体を形成させることで、プラスミドDNAをSCLへ包括させた。包括したプラスミドDNAのin vitroにおける放出挙動をマイクロプレートリーダーにて測定した。さらに、Green Fluorescent Protein(GFP)発現プラスミドを包括したSCL下でHCE-Tを培養し、蛍光顕微鏡でGFPの発現を観察した。 【結果】SCL中のリン酸基含有量の増加に伴いプラスミドDNAの放出量が増加し、3日以上にわたって持続することが確認された。さらに、HCE-TへのプラスミドDNAの導入が蛍光顕微鏡により確認され、SCL中のリン酸基の増加に伴い蛍光を呈した細胞も増加した。 【結論】リン酸基を側鎖に有するSCLを遺伝子キャリアとして用いた導入方法によって、簡便な方法で、より臨床に近い形態で細胞へ遺伝子を導入することが可能となることが示唆された。
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