【目的】pDNAを持続的に放出する、リン酸カルシウム複合体を形成した高分子ハイドロゲルにプラスミドDNA(pDNA)を包括させたソフトコンタクトレンズ(SCL)を家兎眼に装用させることにより、角膜上皮細胞にpDNAを導入する検討を行った。 【方法】リン酸基を側鎖に有するSCLの合成を行い、得られたSCLにカルシウムを介したpDNAをSCLへ包括(pDNA-SCL)させた。プライマリーな角膜上皮細胞におけるpDNAの発現を確認するため、in vitroにおいてウサギ輪部角膜上皮細胞(RLEC)をpDNA-SCL上にて培養し、Green Fluorescent Protein(GFP)の発現を蛍光顕微鏡にて観察した。また、pDNA-SCLを日本白色家兎眼に装用後、眼球を摘出して作製した組織学標本の角膜上皮細胞におけるGFPの発現を、レーザー共焦点顕微鏡にて観察した。 【結果】pDNA-SCL上に培養したプライマリーな細胞においては、培養ヒト角膜上皮細胞と同様、GFPの発現が確認された。また、pDNA-SCLを装用した角膜上皮においてもGFPの発現が認められ、多くは最表層ではあったが、深層部における発現も認められた。 【結論】リン酸基を側鎖に有する高分子ハイドロゲルを遺伝子導入用デバイスとして用いることで、pDNAを導入することが可能であったことから、非侵襲的な簡便な方法で、より臨床に近い形態での遺伝子導入が可能であることが示唆された。
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