研究概要 |
1)初代培養細胞であるヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)へのオリゴヌクレオチドの導入効率が非常に低いことが判明したので、レンチウイルスベクターを試しマーカーのGFPの発現を調べた。感染率はほぼ100%で発現量が高くなるのには48-72時間の培養が必要であった。今後はDicer, DroshaのshRNAを組み込んだレンチウイルスベクターを作製してmiRNA発現を抑制する。 2)HMVECの管腔形成時に変動するmRNAをDNAマイクロアレイにより解析し、その評価を注目のmRNAについてリアルタイムPCRで行った。MMP1,MMP10が増加しており基底膜成分分解系の遺伝子発現が増加していた。またRAPGEF4(Epac2)の発現が増加しており特徴的であった。大血管内皮細胞ではforskolin刺激によりRAPGEF3(Epac1)の活性化が報告されているので管腔形成においても調べたところEpac2と同様にEpac1も発現増加していた。前回の報告で増加していたmiRNA種との関係は不明。 3)虚血性網膜症病態での内皮細胞は低酸素下にあるので、HMVECを低酸素培養(1-2.5%)して血管新生関連の遺伝子発現を調べた。VEGFの発現上昇とともに可溶性Flt-1(VEGFR 1のショートアイソフォームで細胞外でVEGFをタラップして血管新生を阻害する)の発現が減少していた。そのことから可溶性Flt-1の過剰発現誘導による血管新生抑制法についても検討する価値あることが判明した。
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