研究課題/領域番号 |
20592064
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
若林 毅俊 関西医科大学, 医学部, 准教授 (90302421)
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研究分担者 |
小阪 淳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40243216)
森 徹自 関西医科大学, 医学部, 講師 (30285043)
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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キーワード | 網膜神経節細胞 / 軸索再生 / 血管つき神経移植 / 視神経 / シュワン細胞 / 微細形態学 |
研究概要 |
【目的】平成21年度までの成果により、視神経切断端に血管付きで移植する末梢神経として、正中神経を用いるのが最良であるとの結果が得られた。平成22年度は、これに基づき、栄養血管なし移植を陰性対照とし、血管付き移植による視神経軸索の再生促進効果を、網膜神経節細胞の逆行性標識により評価するとともに、移植片内に再生する軸索の微細形態を明らかにすることを目指した。【方法】正常ラット(8週齢オス)の1眼の視神経を切断した。血管付き群では、移植神経である正中神経の栄養血管の血流を維持したまま、血管なし群では栄養血管を切断した後に、眼球の視神経切断端に神経片を吻合移植した。移植手術後4週間を経過したラットにおいて、移植神経片内に逆行性標識物質を注入し、軸索を再生した網膜神経節細胞を逆行性に標識、3日後に網膜を回収し、網膜神経節細胞数を定量した。また、移植神経片の微細構造を形態学的に明らかにした。【結果】血管なし群では再生軸索を有する網膜神経節細胞は712±78個/網膜であったが、血管付き群では1199±120個/網膜であり、統計学的に有意に再生軸索数が増加していた(p<0.05)。移植片を組織学的に検討すると、再生軸索の周りのシュワン細胞によるミエリン鞘は、血管なし群ではほとんど認められなかったのに対し、血管付き群では良好に形成されており、その周りに神経周膜も形成されていた。【考察】血管付き神経移植は視神経切断後において、単に網膜神経節細胞の軸索再生数を促進するのみならず、再生軸索がより正常に近い形態を持って再形成されることを促進する働きがあることがわかった。このことは、より高度な神経機能が再生されうることを示しており、血管付き神経移植の有用性が明らかになった。
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