研究課題/領域番号 |
20592070
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉富 健志 秋田大学, 医学部, 教授 (60191623)
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研究分担者 |
佐藤 徳子 秋田大学, 医学部, 助教 (60431623)
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キーワード | 毛様動脈 / 眼平滑筋 / 血管平滑筋 / プロスタクランディン製剤 / 血管弛緩機序 / プロスタクランディン受容体ノックアウトマウス / 抗緑内障治療薬 / 高血圧ラット |
研究概要 |
抗緑内障治療薬の血管拡張作用を薬理学的に検討するために、ウサギ、ラットおよびマウス摘出毛様動脈に対するプロスタグランディン製剤(PG製剤)の効果を検討した。顕微鏡下で摘出眼球より毛様動脈を分離し、myographシステムに装着し、ウサギ、ラットにおいては当尺性収縮記録法によって、種々の薬物の効果を検討した。また、マウスでは同じ薬物の血管細胞内のCa濃度に及ぼす影響をFluorophotometryをもちいて検討した。高血圧ラットを用いた実験では、正常ラットに比べて高血圧ラットの弛緩が弱い傾向があり、その機序として内皮由来のEDHF(Endothelium derived hyperpolarizing factor)の減少によると考えられた。タフルプロスト、トラバプロスト、ラタノプロストは高カリウム溶液で収縮させたウサギ毛様動脈を濃度依存性に弛緩させた。この弛緩はPGE2やPGI2による弛緩効果よりも強いものであった。この弛緩機序の一部は容量性Caチャネルの抑制によると考えられた。今回検討を行った3種類のプロスタグランディン製剤の血管弛緩機序は共通しており、β遮断剤と異なり血管弛緩作用は共通性があると考えられた。また、プロスタグランデン受容体ノックアウトマウスを用いて、これらの薬剤の血管弛緩機序をさらに詳しく検討する実験を進めており、血管弛緩がこれらの受容体を介さない作用機序を持っていることを見出した。多くの抗緑内障がウサギ毛様動脈に対して弛緩効果を持っており、これがin vivoでこれらの薬剤が眼循環に効果を持つ説明になると思われた。緑内障のrisk factorの最も重要なものは眼圧であるが、正常眼圧緑内障のような症例には眼循環も重要な要素と思われる。抗緑内用薬の眼循環に対する効果の研究はこの意味から臨床上も重要である。
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