研究概要 |
ヒト角膜内皮細胞の培養は、仔ウシ角膜内皮細胞産出細胞外基質コーティングした後、その上にデスメ膜についた状態のヒト角膜内皮細胞を乗せ、胎児牛血清、ベーシックFGFなどを含む特殊な培地を用いてヒト角膜内皮細胞の初代および継代培養を行う方法でヒト角膜内皮細胞を培養した(primary HCE)。また、この培養HCE細胞(cell lines)を利用して、レトロウイルス使用の細胞株を作成した。インフォームドコンセントで同意の得られた健常人、角膜内皮炎、ぶどう膜炎患者の末梢血からCD4^+、CD8^+、pan-T細胞を採取し、標的細胞として使用した。この細胞をanti-human CD3 antibodyおよびanti-human CD28 antibodyを用いて活性化T細胞として使用した。In vitroのHCE細胞抑制の評価を行う目的で、サイミジン取り込み試験とflow cytometryを用いたCFSE取り込み試験、活性化T細胞の産生するサイトカイン測定(IFNγ, IL-2, IL-6, IL-4, IL-10, TNF-α)にて検討した。その結果、primary HCEやHCE cell linesはin vitroでCD4^+、CD8^+、pan-T細胞いずれも有意に細胞増殖を抑制していた。また、活性化T細胞産生サイトカイン測定では、特に炎症性サイトカインのIFNγの産生抑制が強く認められていた。その抑制が細胞接触かどうかを確認するために、cell insert transwell membraneかHCE細胞培養上清を用いて抑制実験を行ったところ、このHCE細胞は細胞接触のみで活性化T細胞抑制を行っていた。現在、B細胞、マクロファージ、好中球などの他の免疫担当細胞抑制もあるかどうか確認中である。また、primary HCEとHCE cell linesの産生する細胞抑制分子を検索する目的で、両細胞からRNAの抽出と、また培養上清も採取して様々な抑制分子をスクリーニングする予定である。
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