研究課題/領域番号 |
20592075
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 峰生 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80303642)
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研究分担者 |
寺崎 浩子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
伊藤 逸毅 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (10313991)
加地 秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30345904)
米今 敬一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40362256)
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キーワード | 網膜色素変性 / トランスジェニック / 網膜電図 / 動物モデル / ウサギ / 網膜変性 |
研究概要 |
本年度の研究の目的は、これまで我々が系統を確立してきたNZW種の白色ウサギに加え、Dutch種の有色のトランスジェニックウサギ(Tgウサギ)の系統を確立し、その網膜から非侵襲的な画像検査(spectral-domain optical coherence tomography : SD-OCT)を用いて網膜の断層像を記録し、Tgウサギの網膜の変性過程を生体から記録することであった。有色のTgウサギの作製のために、白色Tgウサギを有色ウサギと交配させ、生まれてきた有色ウサギを遺伝子解析してTgを確定し、さらにそのTgウサギを2代有色ウサギと交配させた。有色Tgウサギの網膜は、生後12か月を過ぎると色素上皮の色調にムラがみられ、網膜血管の径が細くなることがわかった。この有色ウサギの網膜の変性過程を非侵襲的に研究する目的で、この有色ウサギからSD-OCTを用いて網膜の断層構造を解析した。その結果、有色Tgウサギでは網膜全体の厚みは週齢とともに徐々に薄くなっていくことがわかった。また、生後12-48週の有色Tgウサギでは、視細胞層と色素上皮層の間に高反射の物質が多量に蓄積していることがわかった。この様子は、実際のTgウサギの網膜の組織切片でも確認された。この物質については、Tgウサギの視細胞で産生され、外節に正常に運搬されずに細胞外に蓄積した異常蛋白である可能性が高いと考えられた。これについては現在免疫組織で確認中である。以上の結果から、我々は今年度の研究において、有色のTgウサギの系統を確立することに成功し、このウサギからSD-OCTを用いて非侵襲的に網膜の変性過程を観察することができた。我々が今回作製した有色Tgウサギは、網膜の変性過程を研究するにあたって有用な中型動物モデルであると考えられた。
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