研究課題/領域番号 |
20592076
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
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研究分担者 |
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30346358)
池田 欣史 鳥取大学, 医学部, 助教 (10444639)
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キーワード | 角膜ヘルペス / 角膜内皮 / IDO / toll-like receptor9(TLR9) / 調節性リンパ球(Treg) / IL-10 / 混合リンパ球刺激試験 / 単純ヘルペスウイルス |
研究概要 |
【目的】単純ヘルペスウイルス(HSV)による内皮炎の病態はよくわかっていない。そこで角膜内皮におけるHSV感染の分子メカニズムを調べるため、in vitroにおいて培養ヒト角膜内皮にHSVが感染した際の全ゲノム転写解析を行ってきたが、Indoleamine 2,3-deoxygenase(IDO)がもっとも発現が増強された因子の一つであったため、今年度はその免疫制御に果たす役割を検討した。【方法】不死化ヒト角膜内皮細胞にHSV1型KOS株を感染させ、IDOの酵素レベルでの変化を検討した。末梢血由来の抗原提示細胞とHSV特異的CD4+T細胞の混合リンパ球刺激試験に、HSV感染ヒト角膜内皮によって誘導されたT細胞を添加し、その調節活性につき検討した。更にその系でIDOの発現を変化させることで調節活性への影響を検討した。【結果】HSV感染後、IDO転写のみならずIDOタンパクおよび酵素活性の顕著な増大を感染12時間後から認めた。このIDOの誘導はtoll-like receptor9(TLR9)阻害オリゴにて有意に抑制された。一方、HSV感染角膜内皮とHSV特異的アロリンパ球との刺激試験では、CD4+T細胞が増殖しIL-10を産生した。HSV感染角膜内皮と72時間混合培養したアロCD4+T細胞は、末梢血由来の抗原提示細胞によるHSV特異的CD4+T細胞の増殖反応を抑制することができ、HSV感染角膜内皮は、抗原特異的調節性Tリンパ球(Treg)誘導活性を持つことが判明した。さらにこの作用は、角膜内皮のIDO発現をIDO特異的siRNA transfectionにより抑制すると減弱した。また、プラスミドのtransfectionによりIDOを過剰発現させたヒト角膜内皮では、HSV特異的なIL-10産生性CD4+Tregの誘導活性が増大した。【結論】ヒト角膜内皮は、HSVが感染するとTLR9を介して酵素発現レベルにおいてIDOを発現し、CD4Tregを誘導することで、免疫寛容の状態を導いていると考えられた。
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