研究課題
平成20年度は本学への遺伝子組み換えウイルスの受け入れ体制の確立に時間を要したため、予備実験中心となった。神経芽腫細胞株におけるMHCクラスI発現の解析、腫瘍融解ウイルス療法はウイルスそのものによる細胞変性効果(cytopathic effect)のほか、ウイルスによる腫瘍細胞の融解の際放出される腫瘍抗原がT細胞を介した免疫応答を誘導し、抗腫瘍免疫効果によりさらなる殺細胞作用で惹起する。この免疫応答には腫瘍抗原-MHCクラスI複合体によるCTLの活性化が必須であるとされる。ヒト神経芽腫はMHCクラスI発現が低下していることがしられており、この発現を制御しながら腫瘍融解ウイルスを用いることが本研究のひとつの目標となっている。今回flow cytometryにより神経芽腫におけるMHCクラスI発現を解析した。神経芽腫培養細胞株SH-SY5Y、IMR32、CHP134株をRPMI/10%FCSで培養し、トリプシンにて細胞を回収したのちにPBSにて一度洗浄をおこなった。これらのサンプルをFITC-conjugated anti-human HLA class I antigen(cloneW6/32)にてラベルしflow cytometryを行った。従来の報告どおり、これら3株はヒト線維芽細胞に比し著しく発現量が低いことが確認された。