胆道閉鎖症は現在においても解決すべき問題が多く残された疾患であり、病因として様々な仮説が提唱されてきたが、いずれも胆道閉鎖症の発生を十分に説明するにはいたっていないのが現状である。GVHDと胆道閉鎖症との類似性より、母体より移入した母親由来の細胞がGVHD様反応を引き起こし、形成されていた胆管を傷害し胆管が閉鎖するということを仮説とし、児の肝における母親由来の細胞(maternal micrichimerism)を検索する。胆道閉鎖症の成因とmaternal microchimerismの関連を検討するため、胆道閉鎖症初回手術時に得られる肝生検標本と肝門部肝管・胆嚢・総胆管標本を使用しmicrochimerismの証明を行った。パラフィン包埋肝生検標本を用いFluorescent in situ hybridization(FISH)を用いたchimera細胞の検出を確立し、新規胆道閉鎖症症例の標本保存とスライド作成を行いFISHにてmicrochimerismの検索し、コントロールに比べ高頻度で存在することを証明した。また、自治医科大学にいては生体肝移植症例(胆道閉鎖症、非胆道閉鎖症)約50例の摘出肝標本の収集と標本作製を行った。
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