研究課題
本研究はヒルシュスプルング病に対する神経堤幹細胞移植の可能性を検討することを目標に、3年間の研究期間内に下記の項目について明らかにする計画を立てた。(1)マウス消化管から神経堤幹細胞(NCSCs : Neural Crest Stem Cells)を分離、同定し、自己増殖能、多分化能を検証する。(2)(1)で得たNCSCsをヒルシュスプルング病モデル動物に移植し、その生着、分化を検証する。(3)ヒト消化管から同様にNCSCsの分離、同定を試みる。2年目の平成21年度における成果をマウス、ヒトに分けて概説する。1.マウス:神経堤由来の細胞がGFPでラベルされているP0-Cre/floxP-CAT-CAG-EGFマウス胎児の腸管より分離培養した神経堤幹細胞を含む細胞塊をヒルシュスプルング病モデルマウスであるRetKOマウスに移植し、移植された細胞が腸管壁内を移動、生着し、神経に分化する様子を確認した。2.ヒト:平成21年度末までに3例のヒルシュスプルング病と、4例のヒルシュスプルング病類縁疾患を含む臨床検体27例を用いて、ヒト腸管からのsphere形成を試み、12例でsphere形成を認めた。ヒルシュスプルング病の腸管においては、正常部と無神経節部の両方においてsphere形成を認めるものの、その後の神経への分化が無神経節部では障害されていることが再現性を持って確認されてきている。また、ヒルシュスプルング病類縁疾患の腸管にマウスやヒトから作成したsphereを移植し、現在、移植された細胞が腸管内に移動、生着し、神経への分化をするのかを観察中である。
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