研究概要 |
本研究の目的は皮弁手術などの後に生じる一過性虚血後の脱毛について, そのメカニズムを解明することである. 研究計画に沿って, ラット下腹部に腹壁動静脈を茎とした皮弁を作成. これまでの研究で脂肪組織がapoptosisする境界が8時間前後と考えられたため, 8時間の虚血操作を行った後, 虚血を解除. 血流再還流後, 体毛・毛包細胞にどのような変化が起こるかを経時的に検証した. 当該年度の研究で, 虚血ストレスによる脱毛の有無は毛周期によって異なる事が考えられた. 脂肪層まで入り込む活動期の体毛は血流再還流後, 数時間で脱毛し, 真皮内にとどまる休止期の体毛は脱毛しなかった. 以上より, 脂肪層の毛包細胞と真皮内の毛包細胞では虚血耐性が異なる可能性がある. 形態的に同一の毛包細胞でありながら, 真皮内毛包細胞と脂肪層毛包細胞で耐性に違いが生じるのはなぜなのか? 次年度以降はそのメカニズムを解明したいと考えている. また, 脱毛と虚血耐性の関連から, 脱毛のメカニズムを解明し, さらに虚血ストレスに強い毛包細胞の機構を脂肪層毛包細胞に導入できれば, 脂肪層の毛包細胞死を予防し, 脱毛の防止につながると考えている.
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