研究課題/領域番号 |
20592097
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
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研究分担者 |
鳥居 修平 名古屋大学, 医学系研究科, 名誉教授 (60115607)
鳥山 和宏 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40314017)
八木 俊路朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00378192)
佐藤 秀吉 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70528968)
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キーワード | 大網 / 感染創モデル / 黄色ブドウ球菌 / flowcytometry / T細胞 |
研究概要 |
(1)flowcytometryによるT細胞の解析:感染創を治療する細胞として、マウス大網を細切して、10%ウシ胎児血清を含むMF-medium(間葉系幹細胞、TOYOBO)にてエキスプラント培養して2継代(P2)した。一方、マウス大網を細切しコラゲナーゼ処理後に遠心分離して回収されるStromal Vascular Fraction(SVFと略す)を新鮮SVFとして準備した。この2群の細胞中のT細胞の占める割合を抗CD3抗体を用いてflowcytometryで解析したところ、P2で3%、SVFで27%であった。 (2)感染創のモデルの作成:単純に黄色ブドウ球菌を液体培地に混濁して皮下に局所注射するだけでは、3日間程度で感染が消退してしまう。そこで、この培地にさらに寒天を添加して半流動培地として移植実験を行った。細菌は臨床分離したメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を最終的濃度5×10^8cfuとして使用した。これをマウスの腹部、背部、頭部皮下に注射して、注射部を術後1日、2日、3日、5日に採取しHE染色にて観察した。術後1日では、真皮内の細胞数は減少し付属器が萎縮した。寒天の下面の筋肉および寒天の両側の皮下組織から好中球などの細胞浸潤を認めた。術後2日では、好中球など細胞浸潤がさらに進行した。寒天は一部吸収された。特に、筋層内では著明であった。寒天の直上の真皮はコラーゲン線維を残して細胞成分が欠落し、コラーゲン中に細菌が散在していた。術後3日・4日では、寒天の吸収は進み、寒天中あるいは周囲にコロニーを認めた。寒天の直上の変性したコラーゲンは断裂して、一部皮膚欠損(皮膚潰瘍)となった。寒天に接した筋線維も一部変性壊死した。術後5日では、細菌を含んだ寒天と細胞浸潤を伴う変性コラーゲンがカサブタとなり、健常組織から離解されていた。創縁では上皮化が進行していた。筋層を超えて細菌が侵入することはなかった。
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