研究課題/領域番号 |
20592097
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
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研究分担者 |
鳥山 和宏 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40314017)
八木 俊路朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00378192)
佐藤 秀吉 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70528968)
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キーワード | 大網 / 感染創モデル / 黄色ブドウ球菌 / 半流動培地 / SVF |
研究概要 |
(1) 感染創に対する大網弁の有用性: 今回開発した感染創モデルを用いて、大網弁の感染創に対する有用性を組織学的に検討した。マウス腹部に作成した皮下ポケットへ有茎大網弁を移動させたものをI群、開腹して皮下ポケットを作成しただけのものをII群とした。両者の皮下ポケットに黄色ブドウ球菌を混和した半流動培地20μlを局所注射し、1、3、6、12、24時間後の検体を採取し組織学的に検討した。特に移植培地、大網及びその周囲皮膚・皮下組織、腹筋の細胞浸潤を中心に観察した。II群においては、24時間後で筋層、皮下組織の部分壊死が認められた。I群では、局注後6時間から大網乳斑の増大を認め、好中球の遊走も確認された。また、移植培地に隣接した大網に壊死は認めず、筋・皮下組織の壊死も軽度であった。大網はブドウ球菌の浸潤を抑え、感染創の治療に有用である可能性が示唆された。 (2) 感染創に対する大網細胞の有用性: マウス大網を細切しエキスプラント培養したP2と、マウス大網を細切しコラゲナーゼ処理後に遠心して得たstromal vascular fraction(SVF)を抗CD3抗体を用いてflowcytometryにより解析するとP2でT細胞が占める割合が低下することより、培養をしない新鮮なSVFを用いて実験を行った。半流動培地に黄色ブドウ球菌を混合したものをマウス皮下に局所注射して2日後に、同種同系マウス大網からSVFをえてマトリゲル(再構築した基底膜成分)に混合して感染創に局所注射した。黄色ブドウ球菌の局注後1週間で検体を採取してHE染色にて観察した。移植した細胞は血管新生を伴い生着していた。その周囲には炎症性細胞の豊富な層ができ、一部黄色ブドウ球菌を含む寒天に連続していた。
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