研究概要 |
皮下軟部組織に発生する各種vascular malformation(脈管奇形)について,LYVE-1抗体を主体とした脈管識別マーカーによる免疫組織化学による方法を用いて病変を構成する動脈・静脈・毛細血管・リンパ管の組織構築のの鑑別を行い,病変の起源と発生機構を明らかにする事で脈管奇形に対する治療成績向上のための基礎的背景を得ることを企図するという目的に従い、神戸大学形成外科において現在までに治療を施行した脈管奇形症例のうち,生検または切除を施行した症例のうち計30例を選定した。全パラフィンブロックを薄切(3-4ミクロン)し,連続切片を作製した.静脈組織を客観的に把握するために,HE染色とVictoria青染色の重染色を行った。リンパ管の特定のために,LYVE-1抗体,CD34抗体を用いた免疫染色を行った。また、リンパ管と他の脈管組織との判別のために,von Willebrand factor抗体(DakoCytomation)を用いた免疫染色を実施した。以上3種の染色をそれぞれ等間隔で施行した。現時点においては、脈管奇形のうちのvenous malfbrmation(VM)ではLYVE-1抗体にnegative、von Willebrand factor抗体にpositiveであった。その他のarteriovenous malformation(AVM)・capillary malformation(CM)・lymphatic malformation(LM)などの脈管奇形においては、臨床的診断とHE染色による病理診断と各免疫染色結果が症例によって解離するものもみられており、症例数を増加して解明をすすめているところである。
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