研究課題/領域番号 |
20592098
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (90362780)
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研究分担者 |
田原 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60207206)
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 准教授 (30276894)
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キーワード | 脈管奇形 / 血管内皮細胞 / リンパ管内皮細胞 / LYVE-1抗体 |
研究概要 |
脈管奇形の標本に対し、実験計画に基づいた病理学的検索を行い、臨床像および硬化療法の効果との関係について検討を行った。病的脈管の病理学検索に成功した症例は現在29例であった。病理学的検索は、LYVE-1抗体を主体とした脈管識別マーカーによる免疫組織化学による方法を用いて病変を構成する動脈・静脈・毛細血管・リンパ管の組織構築の解析を行った。連続切片を作製し、次の3種の染色をそれぞれ等間隔で施行した。(1)静脈組織を客観的に把握するために、HE染色、(2)リンパ管の特定のために、LYVE-1抗体を用いた免疫染色、(3)リンパ管と他の脈管組織との判別のために、von Willebrand factor抗体(DakoCytomation)を用いた免疫染色。その結果、臨床診断が同じものでも違う染色特性を示す病変の存在が明らかになった。病理学的検討をさらに進める必要性が生じたために、研究計画を変更し、(5)GLUT1(6)D2-40の免疫染色を追加して実施した。その結果、臨床診断と病理診断の解離が鮮明になった。現在いくつかの血管・リンパ管内皮細胞のマーカーが知られているが、その血管・リンパ管の染色特性は異なる。血管とリンパ管内皮細胞は完全に2つに分類されるのではなく、幹細胞からの分化の違いにより染色性が異なるためである。本研究の得られた知見は、臨床診断が同じ脈管奇形でも、実際は起源が異なる可能性があることを示唆するものである。研究を進める中で、脈管奇形の病理学的検討がこれまで十分行われてないことが確認され、本研究の目的の一つである病変の起源と発生機構を解明するためには、病理学的検討をさらに深める必要性があることが明らかになった。現在症例を増やして、さらに内皮細胞のみでなく血管を構成する様々な細胞の検討を行う。
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