研究の目的:虚血性難治性潰瘍に対する自己骨髄/末梢血単核細胞移植による血管新生療法の有効性を増幅するナノスキャホールド開発のための基礎検討をおこなう。 当概年度の研究成果: 1.ナノスキャホールドの作成と調製(担当:古薗、岡田) 古薗らによるハイドロキシアパタイトのナノサイズ単結晶体(ナノアパタイト)の形態制御と高分散化の技術を用いて、50〜100μm径のポリ乳酸粒子をナノアパタイトでコーティングしたナノスキャホールド粒子を作成した。 2.ナノスキャホールドへの骨髄細胞接着条件の基礎検討(担当:福本、三間) ナノスキャホールドと共に骨髄細胞を無血清液体培地内で培養した場合、最も高い接着率を達成する最短培養時間は1-3時間であった。移植細胞数に対するナノスキャホールドの数的至適混合比率は、骨髄細胞/ナノスキャホールド=10^3/1であることがわかった。GFP-transgenic mouseの大腿骨から採取した骨髄細胞をwild typeマウス虚血肢に移植する検討では、移植7日目に局所に留まる移植細胞数(組織中GFP量)は、骨髄細胞単独群に比べてナノスキャホールドと共に細胞移植した群で著明に多く、In vivoにおいてもナノスキャホールドの高い細胞接着性が認められた。 3.マウスを用いた下肢虚血実験(担当:福本、小山、三間) マウス虚血モデルは大腿動脈切除法により作成した。細胞移植による下肢壊死回避効果をカプランマイヤー法(ログランク検定)で検討した結果、骨髄細胞単独群に比べ、骨髄細胞と共にナノスキャホールドを移植した群で著明に高い下肢壊死回避効果が確認された(P<0.05)。 平成21年度は更に対象群を増やして検証し、また、血管新生を増幅する機序の検討を続けて行う。 〔連携研究者〕国立循環器病センター研究所・生体工学部;古薗勉、岡田正弘。 〔研究協力者〕大阪市立大学・大学院医学研究科;三間洋平。
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