研究課題
研究の目的:虚血性難治性潰瘍に対する自己骨髄/末梢血単核細胞移植による血管新生療法の有効性を増幅するナノスキャフォールド開発のための基礎検討をおこなう。当概年度の研究成果:1. マウスを用いた下肢虚血実験(担当:福本、小山、三間)の続行H20-21年度に引き続き虚血モデルでの有効性の検討を行い、その有効性と治療メカニズムの検討を継続した。H20-21年度の検討では、ナノスキャフォールドと骨髄細胞を共移植することによって移植部位に移植細胞が長期に留まり、細胞単独移植に比べて下肢壊死回避効果が有意に高くなることを既に示した。その機序の一つとして、血管新生性サイトカインであるFGF2やVEGFの組織中濃度が細胞単独移植群に比べて有意に高くなるためであることを既に示している。H22年度では、虚血モデルの組織学的検討により、VEGFは移植した細胞から主に分泌されていることを確認した。一方FGF2は、移植細胞以外に、集塊となったナノスキャフォールドと移植細胞の周辺のホスト細胞からも分泌が促進され、移植細胞を長期に留めることによる2次的な効果であることを示した。また、細胞単独で移植した場合は、移植7日目には移植細胞はTUNEL染色陽性のアポトーシス様の細胞死をきたしていたが、ナノスキャフォールドと共移植した細胞は移植7日目後でもアポトーシスが抑制されていた。これは抗アポトーシス作用も持つFGF2やVEGFによるためと考えられた。また、集塊となったナノスキャフォールドと移植細胞の周辺にはCD31陽性血管の新生促進を組織学的にも確認し、3D-CTアンギオによってもマクロの側副血行再建が細胞単独移植に比べて著明に増加していることを確認した。このように我々は、自己骨髄/末梢血単核細胞移植による血管新生療法の効果を増幅するナノスキャフォールド開発し、更にその治療メカニズムを解明した。
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