高齢化や生活習慣病の蔓延によって褥瘡、糖尿病、血管病変などに起因する慢性創傷・難治性潰瘍が急増している。とくに足潰瘍難治化による下肢切断はQOLのみでなく生命予後・医療経済にも重大な影響を及ぼすためこれまでにない強力な創傷治癒促進療法が望まれている。創傷治癒過程では血管新生というプロセスが鍵を握っていることに異論の余地はなく、治療のポイントはいかに血管新生を促進して修復・再生を誘導するかである。 本研究では最適酸素供給効率に基づく生体内環境設計の下新しいバイオマテリアルによる強力な血管新生療法を開発する。開発技術の「実用化」の可能性を高めるために、可能なかぎり既に臨床場で用いられている実績のある材料・薬剤を組み合わせることにより開発を進める。 昨年度までにコラーゲンとポリグリコール酸の共重合によるナノファイバーを試作し、同バイオマテリアルが創傷治癒血管新生に及ぼす影響を微小循環可視化モデルで検証した本年度までに異なる酸素環境下における創傷治癒をin vivoで検証し局所酸素療法の臨床応用に着手した。
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